かくして3人の母は、仕事へと戻ることができた。三者三様、それなりの苦労はあったが、満足する結果を得て、感謝する気持ちは強い。
厚労省によれば、認可保育園に入れない待機児童数は2014年4月現在、全国で2万1371人。さらに、最初から認可園を諦め、認可外に通っている児童ら、統計には現れない「潜在的待機児童」もかなりの数に上るとされる。
こうした状況の改善も視野に、 新しい「子ども・子育て支援制度」が15年度スタートする。消費税増税分の一部を財源とし、「乳幼児期の教育・保育の総合的な提供」「待機児童対策の推進」「地域での子育て支援の充実」を図るというものだ。待機児童については、13年度から既に始まっている対策で、17年度末までに受け入れ児童数を約40万人増やす計画となっている。併せて、保育士ら職員の配置や給与の改善、研修の充実なども推進し、「量・質の充実」を目指す。
新制度では、保育園や認定こども園、幼稚園を利用する場合、市区町村が認定を行う仕組みが導入される。新たな保育認定では、現行の「就労」「疾病」「介護」などに加え、「求職活動」 「就学」「夜勤」「虐待やDV」も保育を受ける理由として認められる。さらに認定に当たっては、保育の必要量に基づき、「標準時間利用」(フルタイム就労を想定)と「短時間利用」(パートタイム就労を想定)の2区分を設定。パートで働く人の利用拡大も目指していく方向だ。
政府は2015年度当初予算案に、「待機児童解消などに向けた取り組み」の費用として、前年度当初(4927億円)比33.5%増の6580億円を盛り込んだ。受け入れ児童数40万人増に向け、施設整備などを加速させる。ただ、都市部などでは、それを上回るペースで申込者が増加する可能性もある。「待機児童ゼロ」を達成した横浜市も、需要増で14年4月現在では連続ゼロを達成できなかった。さらに、全国で40万人増には、7万4000人程度の保育士の確保が必要とされ、人材不足も予想される。新制度によって、すぐに状況が改善するかは、不透明だ。
「国も自治体も、責任を果たしていない」-。
14年春、保育園に入ることができなかった児童の親が、怒りの声を上げた。市区町村に対する入園不承諾への集団異議申し立ても、各地でニュースになった。入れる人がいて、入れない人がいる。不公平だと思うなという方が無理な話だ。
しかし、である。さいたま市によれば、認可園に0歳児を預けた場合、発生する月額費用は平均17万6627円。うち、利用者負担はたったの平均2万9521円で、公費で負担している分が同14万7106円に上る。保育料は、収入額に応じて決まるため、同市の場合、最高額の人は月額7万2800円を支払っているのだが、それでも、公費で毎月10万円以上を負担してもらっている計算だ。認可園に子どもを預けて仕事をするということは、他の人にそれだけの負担を強いることでもあるのだ。
子どもを産んでも、女性が自由に輝いて生きていけるよう、社会に理解と寛容を求めたい。しかし、自由には、それ相応の責任が伴う。自分の仕事は社会にとって価値があると言えるか、自分の生き様について家族に胸を張って語れるかー。謙虚になり、時々点検しながら進んでいくことも、働く母の責任なのではないかと思う。「42歳の保活」を通じ、そんなことを考えた。
特集・新着
旬のトピックス