戦地にささげた青春 元日赤従軍看護婦の証言 2

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雨期の行軍2カ月

 曹長さんと兵隊さんが2人ついてくれて、先頭になって歩いてくださった。そして引っ張ってくださったんです。地図を持っていました。

 私は途中で編み上げの靴が破れてしまい、縄でくくっても切れちゃって。それでつるでくくって、歩いていきました。足にまめができても痛さが分からない。川を何回も渡り、足はふよふよになってしまいました。

 歩かなきゃだめです。何せ足が元気でないと。小休止のときは、ご飯を食べて。横になるのは大休止のときだけ。雨期なので、山からダァーッと赤土の水が流れてきます。それに膝まで漬かり、泥と水で着ている物も泥だらけです。

 大休止で野営になるのですが、探すのが大変でした。山の中で、どこに宿をとろうかと。2人1組になって、天幕の1枚は下に敷き、もう1枚は木に渡して天井にしました。

 雨期の行軍2カ月です。4月23日から6月18日まで。みんなで一緒に行動していたのに、それぞれになっちゃって。一緒に歩いているという感覚がなくなってしまいました。

 山一つ越えて集落に出たときは、(地元住民と)持っているものを物々交換です。時計も米に換えたし、万年筆も。米は軍足の中にしまい、背嚢に入れました。

 米は大休止の夜に炊くしかありません。友達と2人なので、飯ごうで炊いて、半分は次の昼食にとっておくんです。雨が降っているから、マッチが湿って火がつかないんですよ。

 サルウィン川を行ったり来たりして62回も渡りました。岸と岸の間にロープ、運動会の綱引きの綱みたいなのが渡してあるんです。それにつかまり、足は浮いているんです。それでも渡ったんです。死に物狂いで。よう渡りました。やれと言われても二度とできないです。

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