日本大アメリカンフットボール部の選手による悪質タックル問題で、鈴木大地スポーツ庁長官(右)に関係者の処分を報告する日本アメリカンフットボール協会の国吉誠会長(左から2人目)ら=2018年5月29日、東京・霞が関【時事通信社】
〔5月3~6日に起こった事実〕
3日の練習時、当該選手はやる気がないという理由で試合形式の練習から外された。当該選手は5月初めから、やる気が感じられないという意味の注意をよく監督やコーチから受けるようになっていた。その日もチームメートの目にはいつも通りの当該選手であり、気を抜いたプレーをしているように見えなかったが、あるプレーでQBにタックルをできなかったという理由で練習から外された。同日の練習終了前のハドル(部員が集合して監督、コーチからその日の練習の講評を受けるミーティング)の場で、内田監督から、「当該選手はやる気があるのかないのか分からない、そんなやつは試合にも練習にも出さない」という発言があった。
4日の練習前に、当該選手は内田監督から直接、日本代表を辞退しろと告げられた。当該選手は日本代表に選抜されたことを誇らしく思い、代表の練習に参加できることを楽しみにしていた。従って、代表辞退を理由も告げられず命令されたことは内心不満だったが、内田フェニックスでは監督の言うことは絶対だったので、不満を言葉に出すことも理由を尋ねることもできなかった。当該選手はとても落ち込んだ。その日の練習ではディフェンスインディー(守備の個別練習)の時に真っ先にタックルせず、ダミー(タックル練習用の用具)を抱える役をしたことで、「なぜお前が最初にダミーを持つんだ。やる気があるやつはタックルする方を先にやるはずだ」と井上コーチに怒られ、グラウンドを10周走らされた後に声出しをさせられた。当該選手の声は特に小さいということはなかったが、内田監督がぼそっと声が小さいという指摘をすると、井上コーチから「声が小さい」と叱責された。
5日の試合前日練習でも出場予定の選手が行うディフェンスのウオークスルー(動きを確認するためのゆっくりとした動作の練習)に加えてもらえず、離れた位置から声出しをさせられた。その練習中に井上コーチに呼ばれ、少し離れた所で次のようなことを言われた。「監督が『相手QBをつぶすなら試合に出してやる』と言っている。お前は相手のQBと友達なのか。知り合いじゃないんだろう。関学との定期戦なんてなくなったっていいだろう。関学のQBがけがして秋に出られなければ日大にとって得だろう」。
当該選手は、関学のQBをけがさせてしまえという指示だと受け取ったが、監督やコーチからの指示にノーとは言えないので、とりあえず「はい」と答えた。またその会話の中で井上コーチから「その髪のままじゃ試合に出せないな。坊主にしてこい」とも言われたので、帰宅後丸刈りにした。その日の練習後のアイシングの時に、同じポジションの先輩から「井上コーチがこう言ってるわ」と次のことを伝えられた。「1プレー目から、アラインはどこでもいいから、リードもしないでQBに突っ込め」。つまり、セットする位置はどこでもよく、目の前のラインの選手に当たることもしなくていいから、ただQBに突っ込めということだった。その夜、当該選手は丸刈りにしたものの、本当にQBにけがをさせないといけないのかと悩んだ。だがもし指示に従わなかったら、これからずっと今週のように練習からも試合からも外されてしまうかもしれない。仮にまた日本代表に選ばれても行かせてもらえないのではないだろうかという不安が募るばかりで、これは耐えられないとなった。
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