アメリカンフットボールの悪質タックル問題で、記者会見する日本大学の内田正人前監督=2018年5月23日、東京都千代田区の日本大学会館【時事通信社】
6日の試合当日、当該選手は悩みつつも試合会場に向かった。しかしロッカールームでキャプテンから発表されたスタートのメンバー表に当該選手の名前はなかった。守備の全体統括のコーチである森氏は、ここ数日、当該選手が練習から外されたことを知っていたので、スタートメンバーに当該選手の名前は記載しなかった。本人は「丸刈りにしてきたのに」と思い、防具を着けてロッカールームから練習に出ていく時に、井上コーチに練習に出してくださいとお願いすると、井上コーチからは「監督に言いに行け」と言われた。当該選手はここで相手QBをつぶすと言わないと本当にレギュラーから外されてしまうのだと改めて思った。
試合前のポジション練習の時に、井上コーチから「今、監督に言ってこい」と言われたので、内田監督に直接、「QBをつぶすんで出してください」とお願いした。内田監督の返事は「やらなきゃ意味ないよ」というものだった。それを井上コーチに伝えると、「分かった。試合に出ろよ」と言ってくれた。この時、当該選手は前日に先輩から聞いたこと、「1プレー目から、アラインはどこでもいいから、リードもしないでQBに突っ込め」をするのはまだ半信半疑だったので、「リードしないで突っ込みますけど、それでいいんですね」と確認した。すると、井上コーチから「それで行け。思い切り行ってこい」と言われた。その後、試合前に両チームがサイドラインに整列している時、井上コーチが当該選手のところにやって来てこう耳打ちした。「できませんじゃ済まされないからな」
〔試合の中でのプレーについて〕
最初の反則行為(パスを投じた後のQBに背後から悪質なタックルをしたプレー) この反則が目の前で行われたレフェリーは、反則があったことを示すイエローフラッグを投げつけながら「君は一体何をしてるんだ」と当該選手を怒鳴りつけた。審判が試合中の選手にこのような声掛けをすることはめったにない。試合開始早々の明らかな反則行為で、しかも勢い余ってというものではなかったため、つい口を出てしまったということだった。これに対して当該選手からは「はい、すいません」という意味の返答が返ってきたので、レフェリーは当該選手が極度に興奮して、または何らかの理由で正常な判断力を一時的に失ってこのような反則を犯したわけではないということを確認した。そしてレフェリーは少し迷ったが、パーソナルファウル(アンネセサリーラフネス=不必要な乱暴行為)という反則を取り、15ヤードの罰退とした。
この最初の反則行為を内田監督と井上コーチはサイドラインからしっかりと見ていた。パスが投げられてボールの方向を追うことなく、当該選手の動きを追っていたというのが映像で確認できる。また日大のサイドラインは、自軍守備の第1プレーでいきなり15ヤードの罰退となったにもかかわらず、不自然なほど淡々としていた。映像で確認できる限り、何てことをしてくれたんだ、という身振りを取る者は1人もなく、誰かがサイドラインから当該選手に声を掛けている様子も認められていない。
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