ワゴン車は、原子炉建屋へと下る斜面の途中にある「装備交換所」の前で止まった。今回の取材では3号機の建屋最上階に立ち入るため、ここでYゾーンの装備に着替える。これは少し大変だった。
まず不織布製の白い防護服を着る。放射線を遮る効果はほとんどないが、放射性物質が身体や衣服に付着するのを避けるためだ。次いで綿とゴムの手袋をし、ビニールテープで手首を巻いた後にもう1枚、ゴム製の手袋をする。そして防護服の上からもう1枚靴下を履き、半面マスクを着けると、ようやく装備が整った。
モルタルで舗装された灰色の斜面を歩いて降り、原子炉建屋と同じ高さの地面に着く。ここからはYゾーンだ。表示板が立ち、区画されている。
この先は作業車両が通るために舗装ができず、鉄板が敷かれている。そびえ立つ原子炉建屋が横に並んでいる様子が見えた。あの大惨事を起こし、世界に衝撃を与えた福島第1原発が今、自分の目の前にある。不謹慎かもしれないが、興奮と緊張が胸に押し寄せた。
「いざ最上階へ」という気持ちで靴を履き替え、Yゾーンへ足を踏み入れたが、ここでつまずいた。東電社員の一人が放射線測定器を忘れ、Yゾーンで少し待たされたためだ。ただ、おかげで周囲をよく見渡せた。
午前中で作業が終了しているため、人の気配はない。作業に使う大型クレーンがいくつか置かれ、付近の線量と「滞在時間の短縮に努めよう!」と書かれた表示板があちこちにある。
外壁が崩れて内部がむき出しになった建屋。倒れないかと不安の声が上がる1、2号機の排気筒。静けさの中に事故のすさまじさを感じた。
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