廃炉の最前線へ~東電福島第1原発 視察ルポ~

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「ようやくここまで来た」

 最上階から戻り、装備交換所で防護服を脱いだ後、事故直後から福島にいる経産省の木野参事官に現状をどう思っているか聞いた。木野参事官は3号機に目をやりながら、「ようやくここまで来たという感じです」と話した。

 現在、廃炉には30~40年かかると言われている。国による避難指示が出された福島県沿岸部の市町村の住民は、故郷に「戻らない理由」として、「原子力発電所の安全性に不安がある」ことを挙げる人が多い。

 2016年度に行われた復興庁と県、市町村などによる避難者意向調査によると、南相馬市で54.8%、浪江町で51.5%が、戻らない理由の1位に挙げている(複数回答)。被災者が原発に脅かされない日々は、いつ戻ってくるのだろう。

 構内の南側には、汚染水を処理する過程で出た泥などの一時保管施設がある。その上に上がった。ここからは構内を一望できる。タンクの山、排気筒、原子炉建屋。きょう見てきたものが夕日に照らされている。ここで毎日約5000人が、さまざまな事情を抱えながら廃炉作業に携わっている。

 視察後、自身の線量計を見ると、0.07ミリシーベルト被ばくしていた。胸部X線検査の約1回分に当たる。内部被ばく検査は「異常なし」だった。

 東電の担当者は、2年間ここで仕事をしていて内部被ばくに問題があった人はいなかった、と笑う。ワゴン車で旧エネルギー館に戻り、この日の取材が終わった。

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