東電社員が放射線測定器を持ってきた。3号機を囲む作業用足場に設けられたエレベーターに経産省の木野参事官、カメラマンらと乗り込む。エレベーター内は結構狭い。最大10人乗りというが、6人乗るのが精いっぱい。満員電車を思わせる。
窮屈なエレベーターが昇っていく途中、「ゴゴゴゴ」という作動音とともに、かすかにZARDのヒット曲「負けないで」のメロディーが聞こえてきた。過酷な現場で働く作業員も、このメロディーに励まされているのだろうか。
最上階に着いた。ここでまた靴を履き替える。地上を見下ろすと、震災直後に襲った津波によるものなのか、原発事故に伴うものなのかは分からないが、がれきがまだ残っていた。
ふと視線を上げると、海が見える。「津波は地面から5メートルくらいのとこまで来たんですよ」。東電社員が説明する。
3号機最上階には使用済み燃料プールがある。ここに使用済みと未使用の燃料が計566体、保管されている。東電はこの燃料を取り出すため、最上階に作業床や専用の設備を設けるなど、準備を進めている。
作業床の上に行くため、階段を昇った。呼吸しづらい半面マスクと動きづらい防護服をまとっているため、息がいつもより荒くなる。「フー、フー」と音が漏れる。踊り場にあった表示板には、毎時0.12ミリシーベルトと書かれていた。
最上階は事故後、水素爆発で発生した鉄骨などのがれきが大量に散乱し、放射線量が毎時800ミリシーベルト程度(2011年9月~13年10月)あったという。このため東電は、遠隔操作でがれきの撤去や除染を進めるとともに、鉄板による遮へい体を設けることで線量を下げ、現在は毎時1ミリシーベルト以下に。
しかし、この状態にするまでの線量低減措置で、燃料の取り出し開始を2回延期。当初予定していた15年度上半期から、18年度中頃にずれ込んでいる。
特集・新着
旬のトピックス