WBC、王座奪回への挑戦

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「スモールベースボール」の底力

 第1、2回を連覇した日本について考えると、大きく分けて2つの勝因があったと思う。一つは日本球界に文化のように浸透している「スモールベースボール」の素晴らしさ、もう一つは米大リーグでも実証されている投手陣のレベルの高さである。

 同じアジアの韓国、台湾、中国相手ならともかく、北米、中南米などの強豪を相手にしたとき、日本がパワーでかなわないことは明らかだ。日本を代表する強打者だった松井秀喜さんでさえ、大リーグではシーズン31本塁打が最多。最初から認めるのははなはだ悔しいことではあるが、力勝負の打ち合いを挑んでも劣勢は明らかだ。

 一方、1、2回大会で日本の連覇に貢献したイチローは米大リーグの長い歴史でも30人しか達成していない通算3000安打に到達。メジャーでの盗塁数も500を超え、現役引退後の野球殿堂入りが確実視されている。そのイチローは卓越したバットコントロールだけでなく、常に感覚を研ぎ澄ませた優れた状況判断や観察力でプレーの質を上げている。イチローのような武器を持ち、頭脳も駆使してそれらを磨き続ければ日本の選手でも世界のトップクラスに君臨することができる。イチローはそれを実証した最高の手本と言っていいだろう。

 考えてみれば、こうしたイチロー流、イチロー風のアプローチは、中学・高校から大学・社会人、プロに至るまで、長時間をかけて醸成され、根を張ってきた日本野球に共通の文化のようなものだ。

 投打とも相手をねじ伏せるような戦いを続けられるのなら、こんな理想的なことはない。ただ現実はそうはいかない。好投手が力を発揮すれば、どんな強力打線でもその攻略に手を焼くというのが野球というスポーツ。力の拮抗したチームとの対戦になれば当然接戦が多くなり、ミスの有無や小さなことの積み重ねが差となって表れ、最後に明暗を分けたりする。

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