過去のWBCの戦いを振り返るとき、三つの場面が特に印象に残っている。
一つ目は第1回大会の韓国との準決勝。日本はこの大会で韓国に2敗。3度目の激突は、決勝進出を懸けた戦いとなった。上原浩治と徐在応の両先発投手が踏ん張り、0-0で進んだ7回表。先頭の松中信彦が二塁打を放って得た1死二塁の好機に、王貞治監督は不振でスタメンから外していた福留孝介を代打に送る。この福留が起用に応え、右翼へ先制2ラン本塁打。これをきっかけに日本はこの回一挙5点を奪い、勝負を決めた。
2次ラウンドで米国、韓国に惜敗し、準決勝進出が困難とみられた状況から、メキシコが米国を破ったことで復活。王貞治監督の下、このあたりでチームが一層結束した感じだった。そして、控えに回った福留が準決勝の勝負どころで重苦しい空気を一気に切り裂くような一発。相手に先に得点を許さなかった上原の好投、ベンチも含めたチームのまとまりと日本の持ち味を発揮し、苦境から一気にVロードを駆け上っていった。
続く場面は第2回大会の韓国との決勝戦だ。1点をリードした9回。米国との準決勝から救援に回ったダルビッシュ有が同点とされて迎えた延長10回表。日本は先頭の内川が安打で出塁すると、稲葉篤紀がバントを決めて二塁に送る。岩村明憲が安打でつなぎ、盗塁にも成功して2死二、三塁。この好機に、この大会不振を極めていたイチローが相手抑えのエース林昌勇のボールを中前へと運び、2点を勝ち越して連覇をたぐり寄せた。
延長戦で見せた打線のつながり、土壇場で勝負を決めたリーダー・イチローの存在感とともに、相手に先制点を与えず、8回途中まで2点に封じた岩隈久志の好投が光った。そして救援のダルビッシュ。原辰徳監督は2次ラウンドの後、ダルビッシュに救援起用を打診し、本人を納得させて起用に踏み切ったという。決勝の9回に同点とされても、指揮官は「同点で止まれば、延長では日本が有利になる」と冷静に試合の流れを読んでいた。日本野球の持ち味が詰まった激闘の末の栄冠だった。
この2試合は、大会の大詰めで強豪チームを相手に日本の持ち味、日本の優れている要素を十分に発揮し、厳しい戦いを勝ち切った好例となった。
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