正念場の日本サッカー

  • X
  • facebook
  • hatena-bookmark

テコ入れの必要性

 そこで現代表である。ハリル前監督は多くの若手選手をチームに呼び、その中から何人かがチームの主力級に成長した。一方で海外に出た選手が所属チームで思うように出番を得られず、けが人も続いたことでなかなか代表チームの骨格が定まらず、3月の遠征でも「オーディション」のような状況が続いていたのも確か。本田、香川ら名の通った選手たちの処遇も不透明である一方、新戦力たちの名前は大衆に浸透し切れず、代表チームへの関心がW杯イヤーに入ってからももう一つ高まっていなかった現実がある。協会幹部が危機感を膨らませたとしても無理はなかった。

 そもそも、1970-90年代までは「非常にリーズナブルだった」(当時の放送関係者)W杯の日本向け放映権料は日韓共催の02年大会を契機に高騰の一途をたどり、過去2回の10年、14年大会では民放全体の収支が赤字となった。日本向けのW杯の放送は、五輪と同様、NHKと民放各局で構成するジャパンコンソーシアム(JC)が担うやり方。各局の支出額を基準に放送試合を分配し、お茶の間に届けられている。14年大会では金額の高騰に伴い、CSのスカパーが放送から離脱。18年ロシア大会ではテレビ東京が放送を断念した。この上、日本代表への関心が低下し、ロシア大会の視聴率が振るわなければ、次回以降に向けて深刻な影響が出ることも懸念される。

 そうした状況を踏まえ、サッカー協会幹部が「総合的な判断」でハリル監督の解任を通じたテコ入れに動いたとしても不思議ではない。そもそも、監督の解任が一定の話題づくりになったのは事実ではあるし、W杯イヤーに入っても相撲界の騒動や冬季五輪での日本選手たちの活躍ぶり、メジャーで二刀流の挑戦を始めた大谷翔平の動向を盛んに伝えていたテレビのワイドショーも、今回の解任劇を通じてサッカーの話題を多少なりとも取り上げた。ハリル前監督の反論会見にしたところで、「これでまたサッカーが多少話題になる」と冷静にソロバンをはじいている関係者も少なくないのではないだろうか。直前での監督交代は、フィールド上の戦いぶり以上に人気面の低下を気にして、カンフル剤を打ったとの見方もできるのだ。

特集・新着

旬のトピックス

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ