正念場の日本サッカー

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「ライト層」取り込みは不可欠だが…

 世の中、大きな注目や支持を集めようとすると、普段は大きな関心を持っていない「ライト層」、「浮動票」の取り込みが欠かせない。熱狂的なファンやリピーターは必ずチャンネルを合わせてくれるし、客席を埋めてくれる。しかし、それだけでは爆発的なフィーバー、ブーム、大きな数字にはつながらない。圧倒的な視聴率を獲得しようとすれば、普段見てくれない人たちを突き動かすことが不可欠だ。そうした意味では、熱心な支持者より、「ライト層」への対策がより重要になると言ってもいい。

 社会現象になるには、流行語や話題のパフォーマンスも重要なファクターになる。最近の人気ドラマからは「じぇじぇじぇ」「倍返しだ」「私、失敗しないので」といった流行語が生まれ、テーマ曲に合わせて出演者が踊るダンスが大きな話題を集め、高視聴率につながったドラマもあった。最近では、平昌五輪で銅メダルを獲得したカーリング女子日本代表の「そだねー」や「もぐもぐタイム」も記憶に新しい。ただ、ドラマや映画の製作と、筋書きのないスポーツの世界は根本的に異なる。

 15年のラグビーW杯で、エディ・ジョーンズ監督率いる日本代表が大健闘。初戦で屈指の強豪、南アフリカを相手に劇的な逆転勝利を演じたことで一気に注目がはね上がり、その後の試合はワイドショーでも詳報されるようなフィーバーを巻き起こした。惜しくも8強入りを逃したとはいえ、過去最多の3勝を挙げる堂々の戦いぶり。ジョーンズ監督を中心とした周到な計画に基づいた緻密なチーム強化が実り、十分な意思統一の中から大健闘が生まれた。その快進撃の象徴となったのがFBの五郎丸歩だ。FBとしての防御力、攻めに出たときの強烈な推進力に加え、プレースキックの際のポーズが話題となり、CMにも引っ張りだこの人気者になった。

 日本で開催される19年W杯でも五郎丸は日本代表入りして勇姿を見せるのか。日本ラグビー界を象徴する選手で、「ライト層」もよく知る数少ない人材だけに、大会の盛り上げ役としては欠かせない存在だろう。ただ、もし五郎丸が4年前に比べて衰え、より代表入りにふさわしい選手が同じポジションに複数いたとすれば、「スポンサーの希望や大人の事情」で選出されればチームはおかしなことになる。それがスポーツの世界というものだ。

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